■ 株式会社 芽生コーポレーション 種崎朝啓 社長インタビュー
― こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。最初に芽生コーポレーションのあらましを教えてください。 芽生コーポレーションは、札幌市で主に給排水設備の工事や住宅のトイレやキッチン、バスルームなどの水回りのリフォームを行っている会社です。 株式会社としての登記は2007年11月と若い会社です。しかし私自身は会社勤めの時期を含め、設備工事関係の仕事で十数年の実績があります。 ― 会社を設立するきっかけは何だったのですか。 2007年2月ごろに、その当時勤めていた会社が倒産しそうになった事がきっかけですね。 当時は再就職も難しい経済環境下だった事もあり、止むを得ず給排水設備の工事業者として独立する事にしました。 独立後に工事等の申請関係で必要なので札幌市排水設備指定業者の資格をとり現在に至っています。 個人事業主としスタートし、半年ほど経過した2007年11月に株式会社として登記しました。 ― 芽生コーポレーションの名前の由来を教えてください。 ゼロから始めることなので「いろいろ芽生えればいいな」という思いを込めています。 名前自体は十数年前、会社勤め以前に設備工事を個人事業主で請け負っていた時期がありまして、その時に考えたものです。 もっとも、当時は皆が私を「種さん」と呼ぶのであまり使ってはいませんでした。 余談ですが、三女の名前も漢字は異なるのですが「めい」という名前なんです。
― ホームページにも掲載されていますが、経営理念についてお話頂けないでしょうか。 そこそこ大きい会社には経営理念があると思います。しかし小さい会社ではなかなか無いと思うのです。 以前勤めていた会社は、「経営理念が無かった」、「こうして行こうという目標が無かった」為に傾いたのだという思いもあり、自社の経営理念を作りたいと考えました。 そこで、中小企業家同友会の経営理念を作る催しに参加させて頂き、「ずっとこうして行きたい」、「こういう気持ちで仕事をしたい」という思いを込めて一年掛けて作ったものです。 一、感謝の心を持ち、責任と誠意を使命とします。 自分が事業主になって初めて「これで食わしてもらってるんだ!」という非常に大きな感謝の心がわかりました。 勤め人の頃は、確かにお客様には口では「感謝しています」と言ってはいました。しかし、事業主になった今感じている感謝の心とは重みが全然違っていたのです。 この感謝の心は、事業主では無い社員には伝わりにくい事かもしれません。それでも会社の理念として掲げ仕事に臨んで行きたいと思っています。 また、若い時に某大手運送会社さんに勤めていた時期がありました。私はその会社がものすごく好きで、そこの社是に「責任と誠意を使命とする」というもの がありまして、それがいまでも刷り込まれているのです。その会社を辞めてからも、ずっと責任と誠意を使命と思っており、自社の理念にしました。 一、己を信じ、成長のための努力をします。 経営者でも社員でも同様で、成長をするのに信じるものは己のみであり、自分を信じて努力しない限り成長はないと思っています。 「ああ俺なんか駄目なんだ」と自分の中には弱い部分もありますので、毎日この理念を見ることによって本当に駄目にならないようにしています。 一、互いを尊重し、活力ある企業を目指します。 お客様、会社の中、材料屋さんやメーカーさんなど関わる人全てを尊重してやっていかない限り上手くいかないだろうという思いがあります。 また、昨今のような不景気のさなかでも、お互いが活力ある良い環境を作って行ければと思いまして理念にしました。
― 続いて詳しい業務内容について教えてください。 現在は主に設備工事関係と水回りのリフォームを行っています。 設備工事はいわゆる下請工事です。内容は、給排水設備の工事や漏水修理、排水詰り工事、冷暖房設備の工事などで、現在8割程度の業務比率を占めています。 一方、水回りのリフォームはトイレやキッチン、バスルームなどのリフォームです。 ― ショールームにはトイレのリフォーム関係の展示がありますね。 そうですね。リフォーム関係の現在の業務比率は1割程度しかありません。 今後は5割程度まで引き上げたいと考えております。 その為にショールームを兼ねる今の事務所に2008年11月に移転しました。 下請け工事のみですと事務所は自宅の一室でも問題ありません。しかし、リフォーム関係ではお客様と直接打ち合わせをしたり、実際の物(便器など)を見ていただいたりします。 その為にショールームは欠かせないと考えています。 ― TOTOのリモデルクラブの看板がありますが、これについてお教えいただけますか.。 TOTOさんとは勤め人のころからのお付き合いで、独立するにあたってリモデルクラブに参画しました。 トイレのリフォームなどのお仕事で、メーカーを決めていない場合やお任せの場合などはTOTOをお勧めするようにしています。 TOTOさんは、他とは違いメーカーさんが現場に来ていただけます。その場で工事の打ち合わせなどが可能なのです。 また、TOTOさんのフェアなどには弊社の事例などが展示されたりもしています。 TOTOリモデルクラブの中でも札幌展開で活動する「リモデルクラブ札幌」があります。 やはり、昨今の公共事業削減などでリフォームへの進出を考える札幌の業者さんも多く、私も活動への参加を積極的に行っています 。
― 札幌独自の組織もあるのですね。他にはどのような活動に参加をされていますか。 NPO法人の「さっぽろ住まいのプラットフォーム」などもお手伝いさせて頂いております。 また、札幌市経済局が推進している「平成21年度コミュニティー型建設業創出事業」にも参加しております。 他には「安心してずっと住める環境作り」を目指して東京商工会議所が中心となっている「福祉住環境コーディネ ーター」とい資格取得者で構成されている福祉住環境ネットワーク会議にも参加しています。 ― 多くの事業や活動に参画されているのですね。 はい、社員数は少ないですが信頼できる多くの職人さんと連携させて頂いておりまして、様々な工事やリフォームに対応できる体制を整えています。 弊社のホームページに載せている職人さんはその中の一部です。 ― 水回りであれば緊急時の対応などもされているのですか。 排水管の詰まりの解消など緊急時の対応も行っております。 ただ、夜間や休日などの対応は必ずしも体制が整っているわけではありません。 その為、社員への負担を考え24時間緊急対応は、既存のお客様に対してのみとさせて頂いており、新規のお客様には通常の営業時間内の対応とさせていただいています。
― 今まででこれは!という工事はありますか。 トイレのリフォームで印象に残っているものがあります。 お客様が様々な要件で半ば諦めていたリフォームでした。 様々な要件とは、「うちでは出来ない」と言われたり、「非常に高額の見積り」 を提示されたりした事です。 このお客様が札幌市経済局の「平成21年度コミュニティー型建設業創出事業」のコーディネート事務局に相談し、参画している弊社に打診があったのです。 お話を伺うと、トイレ のすぐ脇に雨水の配管があったり、トイレ自体に小屋根があったり、トイレのドア方向を変えたりと条件が非常に厳しいものでした 。 この工事を弊社主体で受けまして、結果的にはそれ程高額にもならず綺麗に仕上がり、お客様はすごく、すごく喜んでくれました。 何度も何度も 「ありがとう」 と。 たかがトイレの事と言ってはお客様に失礼とは思います。しかし、敢えて言うと、たかがトイレでであれ程喜んで頂いて驚きましたし、印象にも残っています。 また、「ありがとう」の言葉は励みになります。 ― なるほど、「他社に断られたり高額だったりした水回りのリフォームはぜひ弊社にご相談下さい」というイメージですね。 それはちょっと凄すぎる言葉かも知れません。しかし、できる限りリーズナブルに対応しますし、水回りのリフォームはこれから伸ばして行きたい業務なので頑張りたいですね。 なにかお困りな点があれば遠慮なしに相談して頂きたいです。
― 先ほど、水回りのリフォームの比率を5割にしたいとお話がありましたが。 実は独立して間もないころの下請け工事の際に、いきなり数百万円損をした事があったのです。 仕事の内容は一般的な下請け工事でした。 ただ、当初より少々怪しい雰囲気の経由工事だったのです。しかし、お付き合いの関係で断る事ができず、少ない内金でも工事を開始し問題なく終わらせました。 しかし、最終的には入金のないまま・・。 こういう事が昨今の厳しい経済的環境下では多々起こりうると思うのです。 ならば、出来るだけ元請けを自分たちで出来るリフォーム関係の比率を上げていきたいと思ったわけです。 そういえば、今度行う工事は、塗装関係の職人さんが窓口になっての水回りの全面的なリフォームです。 これは、職人さんがお客様から水回りのリフォームの依頼を受け、私どもに相談にきてくれたものです。 今までは塗装屋さんは塗装の仕事と限られていましたので、通常は受けられない工事です。 しかし、お話があった時に「その工事を取っておいでよ、工事関係は全てうちが面倒みるから」 と塗装屋さんをバックアップし、受注できる事になりました。 このように、弊社のような規模の会社や職人さん(個人事業主の親方さん達)が仕事上の繋がりで互いに顧客を融通しあい協力して行う工事の受注も今後は増やしたいと思っています。 ― 上下の繋がりではなく横の繋がりですね。 はい。横の繋がりこそ互いの信頼関係がとても大事な業務になりますし、結果的には経由が少ない分安く出来、お客様にも喜んで頂けると考えています。
― 今後、どのようにしていこうと考えておられますか。課題なども含めてお話し下さい。 これまでは、下請け工事の受注が多かったという面もあり、コマーシャル的な活動をして こなかったという課題があります。 コマーシャルするという事で最初に考えたのは、同業でよく目にするのは新聞折り込みなどのチラシです。 しかし、効果を出すには続けて行かなくてはならず、金銭的な負担が大きくることを考えると対費用効果の面で躊躇しています。 また、急な仕事の場の費用を「いくら掛かりますか」と事前に電話などでよく聞かれます。 しかし、現場に行ってみないと分からないというのが正直なところなのす。 したがって、他社さんのような広告への金額表示は安易にはできないなと思っています。 緊急のお助け工事をアピールして行く事も考えられます。しかし、先ほどお話しした通り体制面の関係で維持が難しい考えています。 仮に24時間体制をとった場合は交代勤務の人を雇わなくてはならず、その人件費分を加えた比較的高価な工事単価にしないと成り立たなくなってしまう可能性があります。 これでは水回りのリフォームをリーズナブルな価格で提供し伸ばして行きたい弊社の目指すものとちょっと違うという気がしています。 ― なるほど。では、有効な広告手段という意味でホームページが大事な要素ですね。 そうですね。ホームページでの水回りのリフォーム事業のアピールを積極的に行いたいと思っております。 今までは、ホームページの更新を頻繁には行ってきませんでした。 今後は少しずつでも事例などを集めてお客様に分かりやすい広告にしたいです。 そして着実に顧客獲得数を増やしていきたいと思っています 。 今後の事業に関しては、福祉関係の仕事など取りかかりたい分野があります。しかし、一度に拡大は難しいので、一つずつ着実に進めて行こうと思ってい ます。 まずは水回りのリフォームを増やしてからですね。
― 最後に皆さまへのメッセージをおねがいします。 私どもはお互いを尊重し合える仕事をしたいと考えております。。 業者間はもちろんのこと、お客様とも同様に尊重し合える「ありがとう」と言って頂ける会社になりたいと思っています。 この業界は結構クレームがありがちです。 ・思っていたのとチョットちがう ・色がチョット違った ・なんでそうなるの? ・それは聞いていない ・・・ こういう事を極力無くそうとはしています。しかし、トラブルとまでは行かないレベルの行き違いが少なからずあるのが現状です。 私共は、このような行き違いやトラブルの発生時でも、お客様や業者同士のお互いの信頼の中で解決策を見つけていけるような関係で仕事ができればと考えております。 チラシを出して安売りして次々にこなしていくような商売よりも、信頼して頂き長くお付き合いできる商売をしていきたいと思っています。
※ 株式会社芽生コーポレーション社のWebサイト ※ 取材日時 2009年12月 ※ 取材制作:カスタマワイズ |